初夢福袋
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初夢福袋という怪しげな福袋が雑貨店に並んでいる。『縁起の良い夢が必ず見られ、幸運が訪れること間違いなし』とある。一つ三千円という微妙な金額に躊躇していたら、この福袋を目当ての客が一人、二人と購入していく。
「迷われているなら、一度購入されてみては? 宝くじを買うよりは損はないと思いますよ」
客の一人が毎年購入しており、それなりの幸運が訪れていると笑った。一年頑張って働いた自分へのご褒美にもと背中を押され、つい買ってしまった。何が入っているのか揺すってみても分からなかったが妙な重みを感じた。家に帰って開けてみると袋の中からにょろりと白蛇が顔を出し、驚く私の鼻先を舐めて姿を消した。
おやつを催促する猫が痺れを切らして胸に飛び乗る。こたつでうたた寝していたらしい。おやつをあげ、迷っていた同窓会の返信葉書に丸を付けた。
「良いことあるかな」
蛇がのたくった様な跡が付く窓の向こうで雪がちらつく。
「迷われているなら、一度購入されてみては? 宝くじを買うよりは損はないと思いますよ」
客の一人が毎年購入しており、それなりの幸運が訪れていると笑った。一年頑張って働いた自分へのご褒美にもと背中を押され、つい買ってしまった。何が入っているのか揺すってみても分からなかったが妙な重みを感じた。家に帰って開けてみると袋の中からにょろりと白蛇が顔を出し、驚く私の鼻先を舐めて姿を消した。
おやつを催促する猫が痺れを切らして胸に飛び乗る。こたつでうたた寝していたらしい。おやつをあげ、迷っていた同窓会の返信葉書に丸を付けた。
「良いことあるかな」
蛇がのたくった様な跡が付く窓の向こうで雪がちらつく。
ファンタジー
公開:21/01/01 00:20
更新:21/01/01 12:07
更新:21/01/01 12:07
初夢
福袋
縁起物
白蛇
本年も宜しくお願い致します
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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