ご縁玉

0
3

古い神社の思い出。
凶を引いて沈む私にピカピカの五円玉をくれた友達の彼は大吉を引いていた。
「大吉を引く俺の強運を分けてやるよ、これからも縁があるようにってな」
あれから10年は経つか、彼とは音信不通だ。
因みにあの時の五円玉はチェーンに通してブレスレットにしてある。
そして今年も例年通りお詣りに来ては彼の姿を探すが見つからずだ。
今年のおみくじはどうかと開けてみると、大吉だった。
待ち人あらわる、とあるがどうだかなとため息をつく。
すると後ろから声がした。
「まだ持ってたんだな五円玉、しかも大吉引くとは俺が強運を分けたおかげだな」
二ッと笑った青年は確かに私が探した彼だった。
今までどこで何をしていたのか問い詰めて、昔話をして、これからを話してと忙しい年明けだ。
五円玉の繋いだ生涯の縁。
寄り添って永くなったがこの話しは家族のなかで良い笑い話になっている。
公開:20/12/31 23:47
コンテスト

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

キシャシリーズ
キシャとカイシャと異文化交流
海の家、森のケーキ屋さん
化かされたキツネ
玻璃屋綺談

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容