回転木馬

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3年前。待ち合わせの駅前。僕は江奈を庇い、車に轢かれた。プロポーズの為の指輪が宙を舞う。
天国で目が覚めた。江奈に会いたい。僕は毎日、神様に頼んだ。断られて3年。聖ウァレンティヌスが、現世のイベントに回転木馬を貸し出すと知った。あの日、僕達も回転木馬に乗る予定だった。僕は助手に応募して採用された。けど期間中は休めない。それじゃ江奈に会いに行けない! 聖ウァレンティヌスは言った。「大丈夫。恋人の方から会いに来る」
イベント当日。果たして江奈はやってきた。が、回転木馬に乗らずにじっと見つめている。江奈! 声をかけた僕に江奈は驚く。「私をご存じですか?」え? 「私、3年前に記憶喪失になって。回転木馬が関係あるのだけは覚えてるんですが。来月結婚するんで、記憶を取り戻したいんです」僕は言葉を失った。
天国に戻ろう。江奈、僕を思い出すな。その代わり来世で必ず、一緒に回転木馬に乗ろう。
 


 
ファンタジー
公開:20/12/31 23:40
更新:20/12/31 23:41

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