旅わらし
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山あいの村の景色は変わらず、その家はすぐに見つかった。
戸を叩くと「なした」と声がする。
「雪で進めねえ。泊めてくれろ」
現れた青年はおれの全身を一瞥すると、囲炉裏端まで招いてくれた。
「ちょうど夕飯だ。一緒に食うべ」
出されたのは、漬物と白飯とけんちん汁だ。一口すすると、懐かしい風味が体中に沁みわたった。
やっぱり、うめえなあ。
おかわりはと聞かれて、もう七杯食った。そんなおれをみつめて、青年が「昔な」と話した。
「俺のひい婆ちゃんが旅人を泊めたんだと。お前さんみたいにけんちんが好きな童で、ここに住めって誘ったら、いつかまた、けんちんを食べにくるって答えた。だから、この味だけは継いでくれって..何べんも作って覚えたんだ」
待ってるよ、と。
やさしい声が耳の奥に蘇り、心の中で手を合わせた。
「また食べにくる」
おれが言うと、
「俺も、弟子か嫁さんをもらわなきゃな」
青年は笑って頷いた。
戸を叩くと「なした」と声がする。
「雪で進めねえ。泊めてくれろ」
現れた青年はおれの全身を一瞥すると、囲炉裏端まで招いてくれた。
「ちょうど夕飯だ。一緒に食うべ」
出されたのは、漬物と白飯とけんちん汁だ。一口すすると、懐かしい風味が体中に沁みわたった。
やっぱり、うめえなあ。
おかわりはと聞かれて、もう七杯食った。そんなおれをみつめて、青年が「昔な」と話した。
「俺のひい婆ちゃんが旅人を泊めたんだと。お前さんみたいにけんちんが好きな童で、ここに住めって誘ったら、いつかまた、けんちんを食べにくるって答えた。だから、この味だけは継いでくれって..何べんも作って覚えたんだ」
待ってるよ、と。
やさしい声が耳の奥に蘇り、心の中で手を合わせた。
「また食べにくる」
おれが言うと、
「俺も、弟子か嫁さんをもらわなきゃな」
青年は笑って頷いた。
ファンタジー
公開:20/12/31 23:27
読んでくださる方の心の隅に
すこしでも灯れたら幸せです。
よろしくお願いいたします(*´ー`*)
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