良縁結び師

2
7

この状態があと何分続くの?
正面に座ったイケメンは顔を俯かせて何も喋らない。だからお見合いなんて嫌だったのよ。だいたい『良縁結び師』を自称する立会い人の叔母はなんで遅刻してるのよ。
顔を上げた彼が、ぶつかった視線に照れて微笑む。その笑顔が眩しくて私は再び視線を落とす。
「あらあら、ごめんなさいね」
ようやく現れた叔母が私達を見て「二人とも緊張しすぎよ」と笑った。
誰のせいだと…。
「ほらほら」
叔母が彼の手を取り緊張を解すように掌を撫でて、小指からスルスルと赤い糸を引っ張り出した。叔母は私の小指からも赤い糸を取り出すと2つの糸をちょちょいと結んだ。
「私が見立てた二人なんだから、あなたたちは間違いないわ」
戸惑う私を見て叔母が驚いた。
「おや、見えるのかい? 後継者が見つかったね」
叔母は私に笑いかけ、「それよりも今日はこっち」と彼を指さす。

見上げると、彼が眩しそうに私を見つめていた。
恋愛
公開:20/12/31 11:08
更新:20/12/31 13:30

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容