水の住人たち
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蝉の声が降りしきる午後。
葉のしげる枝が交差して、並木道には緑の水たまりができていた。
石畳で光の網が揺らめく。深い水底を歩いているような感覚。足元を抜ける風も緑色に見えた。
水の音。
蝉の声が遠のいた。川の中の水音が、耳の奥で流れだす。小さな影の群れが石畳の上をすべった。顔を上げると銀色の魚が頭上を過ぎていった。
昔は川だったという並木道の記憶だろうか。
いつも水に縁のある場所にひきよせられた。仕事でいろんな所に身を置くが、水の匂いがしなかったり、コンクリートの下の地面が遠く、水の流れを足で感じられないと長くは居られない。
自分が落ち着ける土地。水とつながる所に移ると、新しい人達の中へ入ってもよそ者という感じがせず、むしろ懐かしい気持ちがした。
そういえば友人は、昔沢蟹だったという。夢をよく見るらしい。
これも並木道の記憶ではなく、水に住んでいた頃の自分の記憶なのかもしれない。
葉のしげる枝が交差して、並木道には緑の水たまりができていた。
石畳で光の網が揺らめく。深い水底を歩いているような感覚。足元を抜ける風も緑色に見えた。
水の音。
蝉の声が遠のいた。川の中の水音が、耳の奥で流れだす。小さな影の群れが石畳の上をすべった。顔を上げると銀色の魚が頭上を過ぎていった。
昔は川だったという並木道の記憶だろうか。
いつも水に縁のある場所にひきよせられた。仕事でいろんな所に身を置くが、水の匂いがしなかったり、コンクリートの下の地面が遠く、水の流れを足で感じられないと長くは居られない。
自分が落ち着ける土地。水とつながる所に移ると、新しい人達の中へ入ってもよそ者という感じがせず、むしろ懐かしい気持ちがした。
そういえば友人は、昔沢蟹だったという。夢をよく見るらしい。
これも並木道の記憶ではなく、水に住んでいた頃の自分の記憶なのかもしれない。
ファンタジー
公開:20/12/31 17:59
夏
緑
川
並木
水
縁(ゆかり)
見たい景色を文字で書いています。
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