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そこは総合病院の大部屋。

終末期を迎えた田中さんと山下さんは、隣同士のベッドで入院生活を送っている。

「それにしても奇遇ですなぁ」

「ほんと、信じられません」

聞けば二人はこの病院の生まれ。

しかも、生まれた日が近かったため、新生児室で隣り合わせていたらしい。

「隣同士のベッドで眠っていると落ち着くのは、それが理由だったんですなぁ」

「同感です。故郷みたいなもんですよ」

顔いっぱいにシワを作り、二人は笑い合った。

ある日の消灯後、病室のドアが静かに開いた。

何者かの気配に二人は目を覚ました。

「誰か入ってきましたなぁ」田中さんが小声で言う。

視線を送ると、そこには神々しい光に包まれた人物が立っていた。

「お迎えにあがりました」

その人物は微笑みながら、二人の手を取った。

「おやおや、あっちの世界にも連れ立って行けるのかい」

「どこまで行っても縁のある二人だ」
その他
公開:20/12/31 17:24
病院

ときわひでたか(常盤 英孝)( 大阪 )

《3分後にはもう、別世界。》
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