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地元の村では毎年、大晦日の夜、神社の境内である行事が行われる。コロナ禍の只中でもあり今年の開催は危ぶまれていたが、こんな状況だからこそ実施すべきとの住民意見が多数を占め、対策を講じて実行される運びとなった。
「年落とし」と呼ばれる儀式で、その年に起こった様々の出来事に思いを馳せつつ、落とす。
落とす、と言うのは、いいことも悪いことも含め、今年の出来事は今年の出来事として納め、捨て去ることを意味する。儀式は、その年の結果に慢心せず、また悔いを残さずに、新たな年をまっさらな気持ちで迎えられるよう祈念して行われる。境内中央に立てた数本の丸太の柱に、神主の進行に従って大人たちが一年分の日記帳やメモを釘で突き刺していく。準備が整うと、子供たちがそれを木の棒で叩き落とすのだ。
最後に火がつけられ、丸太ごと焼き尽くしながら円陣を組んで周りを巡る。

私はあの火を見ないと、なんだか年の明ける気がしない。
その他
公開:20/12/31 07:00
更新:20/12/30 20:34

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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