未来から来た爺

12
23

俺が若い頃ブランド服を百貨店で探していた時、必ず禿頭の爺と出くわす。まさかあんな爺が自分用に探しているとは思えないが、服を持ち試着室に嬉しそうに入っていく。あの服は俺も目をつけていたのに、スラーと見えそうなズボンを探していると又先程の爺が若者向きのズボンを持ち試着室に消えた。
今度は靴売り場に行き色々探してやっと気に入ったデザインの靴を見つけたと思い、手を伸ばすと又先程の爺も手を出してきて取り合いになった。
結局爺に譲ったがどうして俺の行く所行く所にいて、好みも俺と一緒なのかと不思議に思った。

あれから50年、同じ百貨店に行き服やズボンや靴を探していると、ハット過去の思い出が蘇った。若い頃に売り場売り場で出くわした変な禿爺は、結局は自分だったのではと。何故なら今度は若い青年とアチコチで出くわした。あの若造は結局は過去から来た自分なのではないか!
ファンタジー
公開:20/12/31 08:26
更新:20/12/31 09:58

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容