担い手マッチングアプリ　〜身体から放出される糸を撚(よ)ってしめ縄をつくる職人と僕〜

　僕の師匠、縁緒ツムグ氏は縄職人。師匠の作るしめ縄は特殊だ。材料はヒトの身体から放たれる「糸」。ヒトとヒトの「糸」同士を撚り合わせて一本の縄を作るのだ。運命の赤い糸なんて言葉はよく使われるが、実はヒトの身体からは赤だけでなく青や緑など、色とりどりの糸が出ているらしいのだ。撚り合せる糸の色によって、様々な関係を結ぶことができる。師匠曰く、太く撚るほど切れにくくなるそうだ。
　師匠とは『担い手マッチングアプリ』で出会った。名前通り、次世代の担い手に悩む職人と、伝統工芸に興味のある若者とを繋げるアプリである。就活に失敗した僕は、このアプリのおかげで縄職人という新たな道を見出すことができた。
　そんな僕も、弟子になり2年が経つ。毎月受講料を納め努力はしているが、拠るどころか未だ糸さえ見えない。体得には20年はかかると師匠は言っていた。

　ところで、なぜ師匠はマッチングアプリを使ったのだろう。