其方は今更に何をか思はむ

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白の大地が永遠と続く道に少年と旅人がいた。
女物の衣を抱え、見窄らしく痛々しい身なりの少年に旅人は唱えた。
「誰かを守るためには、自分を犠牲にしなければならない。」
当然のことを諭された少年は、あまりの滑稽さにけらけらと笑っては、涙を呑み込んだ。
「何故…笑う!?」
旅人は苛立ちと恐怖を感じた。矛盾している少年の面様に。
「…君は、自分を犠牲にしてまで守りたいものがあるのか?」
重く口を開いた少年の純粋な眼に旅人は深く傷つき、いつか見た鮮やかな記憶が頭を駆け巡っていく。旅人を優しく見守る影に温かな光が差した。
心憂く見つめる先に女物の衣がある。
「君は言ったな。何故笑うのかと。俺は心に従った“正しい選択”に呆れていたんだ。」

「正しい選択の先に“死”が待っていても、俺にとってはどれも正しい行いだ。滑稽な話だが、アイツを最後まで守れることができて…俺は幸せだった。」
儚げな笑みを浮かべて。
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公開:20/12/31 08:00
#切ない #悲しい #守りたいもの

南雲薫。

2020年11月9日始めました。
皆さん,初めまして。
私には文章力がありません。代わりに想像力が豊かです。
皆様の指摘コメントお待ちしております。
 

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