河童文庫

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何かがおかしい
急にそう思いはじめたのだ
こんなところに道なんかあったかな
遠くに見える目的地にどうやらつながっていそうだ
風が小さく囁き動かない時間の中にいるような錯覚さえあった
畑を越え銀杏の木をまがると
「河童文庫」
きれいに整頓陳列された本達は大切そうにそこに収まっている
「あれ?この本、」
「お目が高いですねそれは今絶版なんでね、ここにしかないですよ」
いつのまにか隣にいたお店の人にそう言われた
「そうなんですね、僕もこの本大好きだったんですけどなくしちゃって。
これいくらですか?」
「キュウリ一つになります」
「え?キュウリ、、、」
お昼の弁当箱をのぞくと、きゅうりの酢の物が入っていた
ニヤっと笑った顔は薄暗くてはっきり見えない
「ありがとうございました、またお越し下さい」
帰り道本を見てみると
見覚えのある字で自分の名前が書いてあった
そしてその店はどこにも見当たらないのだ
ファンタジー
公開:20/12/30 23:01
更新:20/12/30 23:22

ミルコ

挿絵はコロナで展示ができなかったチビ太さんにご協力して頂きました

ものづくりをしてます

よろしくお願いします
 

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