火の用心

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「火の用心 マッチ一本 火事の元」というが、目に見えない火にも要注意だ。
ある火曜日、SNSに投稿した記事に火が付き、コメント欄で炎上した。
火中の栗を拾いに行ったわけではないが、口火を切って自らコメント欄で反論したら、さらに火を吹く反論があって互いに火花が散り、意見が衝突した。
激しい論戦となり、ますます状況が悪化して燎原の火となり、火に油を注ぐ結果となってしまった。
この大失態に顔から火が出るほど恥ずかしくなった俺は、追い詰められた状態となって尻に火が付いた。
気が動転し、慌てふためきながら火の付いたような勢いで立ち上がったところ、開いていた部屋のドアに顔をぶつけて目から火が出た。
こういうときは、いったん頭を冷やし、冷静になってから行動することが火を見るよりも明らかだ。
その後、SNSに何も書き込まず放っておいたら、いつぞや騒ぎは収まり、火の消えたようにコメント欄は静まり返っていた。
その他
公開:20/12/29 07:12
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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