12月のシューティング・スター

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冬の空には淀みがない。凍てつく夜には、特に。
「あ、流れ星」
すごい。こんなタイミングで見られるなんて。
「でもあれ、じつは星じゃないんだよね。スターダスト、とかいうとなんだかカッコいいみたいだけど、要するに塵なわけだよ。数ミリサイズの」
出た。これだから理系出身の宇宙オタクは。
「それに、流れ星って割に流れてるもんなんだよ、きれいな星空をじっと眺めてたら、だいたい三十分にひとつくらいは目にできる」
なんて夢がない……。
「はああ」
露骨なため息が出るが、彼は聴いちゃいない。
「でもさ、すごいと思わない? たかだか数ミリ程度の石ころが、上空百キロの彼方であんなふうに大気を燃やして、僕らの目にまで飛び込んでくるんだぜ。これぞ物理の成す奇跡。人間が作った神なんかよりずっと、神々しく輝いてる」
なんて夢がない……ロマンチストなんだ。
「そんなことより私を見てよ」
有無を言わせずキスをしてやる。
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公開:20/12/29 07:00
更新:20/12/29 01:51

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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