星の一部

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「あ、流れた」とある場所で少女が声をあげた。この流れ星は少女にとって特別だった。昨日喧嘩した友達。絶対絶対私は悪くない。…だけどもし流れ星を見れたら、明日私から謝ろう。そう思ってた。

次の日少女の前で、少年はぼろぼろ泣き出した。病気でもう長くない母がいる。不安定な心は昨日、意図的に少女を傷付けたのだ。だけど彼女の方から謝ってくれた。

話を聞いて母は思った。私が死んだら、彼らを繋いでくれた流れ星になりたいと。

大人になり、彼らは結婚した。子どもが少し大きくなってからは、車で行ける山に星を見に行くのが恒例となった。

「ねえ、なんでいつもここに来るの?」
「ここはねえ、結婚したばかりの頃、おばあちゃんと一緒に来た場所なのよ」
「じゃあ流れ星が見えたら、僕はばあばと会えるんだ」その言葉に、二人は顔を見合わせ笑った。
「あ、流れた」彼が指差す方向に、優しい赤い尾を引いた光が通りすぎていった。
公開:20/12/28 23:30

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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