私、年越した瞬間地球上にいませんでした。

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「明美、智実、後五分くらいだって。私興奮してきた」
「ね。一年あっという間だった」
「そういえば、また観覧車前で写真撮るんでしょ?」
「そうそう、私やりたいポーズあるの」
「年越した瞬間、地球上にいませんでしたとか?」
「それ!じゃあちょっと、急いでお手洗い行ってくるから準備しといてくれない?」
「ええ、急いで急いで。三脚立てとくから」
「ちょっと一花、あんた方向音痴なんだから気をつけてよね」
「分かってるよ」

──ハァ、ハァ
『さん!』 
「あ、いた!一花早く!」
『にい!』
「あぁ智実!待って待って」
『いち!』
「ジャンプ!」
「あっ」
『ハッピーニューイヤー!』

 ドンッと派手な花火の音が鳴り響く。
「明美ぃ、智実ぃ。ごめん、私転んで──」
 私の耳から、花火の音も周りの歓声も、次第に遠ざかっていく。
 ポツンと佇んでいるデジタルカメラには、転んでいる私だけが、写っていた。
ホラー
公開:20/12/31 18:00
更新:20/12/31 17:10
新年 カウントダウン 2021年

十六夜

こんにちは 「いざよい」です。
ただただ好きで小説を読んだり書いたりしている高校生です! 
お気に入り、コメントを頂き感謝です(⋆ᵕᴗᵕ⋆)"

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