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その路地はいつも未知への通路のようだった。

人がやっと通れるほどの家と家との僅かな隙間。
向こう側には冬だと言うのに豊かな緑の葉が生い茂る木々が見える。
足元にはからみつくような草。
他人の敷地に入ってはいけないと思うのだけど、いつもその前を通る時吸い込まれそうになる。

ある日思いきって入ってみようと思ったが、なぜかその場所が見つからない。なぜだろう。
なんど探しても見つからなかった。

ある日、またぼんやりと歩いているとオレンジ色の不思議な花が咲いていた。
「アロエの花? こんな花が咲くんだ?」と見ているとそのトゲだらけの葉が伸びてきて僕にからみつく。

「うわあ。い、痛い」

僕は棘に囚われたまま引きずられていく、そう、見つけられなかったあの路地の奥へと。

そしてだんだん気が遠くなっていくなかで感じたのは、温かく柔らかい蕾に押し込まれていく感覚だ。
僕は路地に食べられたのか。
ファンタジー
公開:20/12/29 21:11

さとうつばめ( 東京 )

東京生まれ。
読書するジャンルは時代もの多め。ふふ。

*プロフィールお堅いので変えました。
書くの面白くて連投しましたが、長く続けるためにゆるゆるやっていこうかな。

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