包蝶

この前、職人街で綺麗な蝶を見かけたんだ。
全体的に尖っていて、銀色をした凄く綺麗な蝶。
太陽の光を反射しながら、ひらりひらりと飛んでいるのを見かけた。
僕はその蝶を捕まえる為に虫取り網を持って職人街をひた走る。
…いた。
ゆっくり近づいて、網を振り下ろす。
網の中のそれに触れようとした時、通りがかった大人に止められた。
「君！包蝶を素手で触るなんて危ないよ！」
包蝶？首を傾げた。
その一瞬の隙を突いて、蝶は網を切り裂いて逃げてしまった。
「ほらね。あいつは鋭い刃物で出来た蝶なんだ。迂闊に触ると怪我するよ」
さすが職人街。両親に言われた通り、ここは危険な場所だ。
「ところで君、助けたお礼に有り金全部出してよ」
大人はにこやかに僕を脅してきた。
その人の周りには包蝶が飛び回っている。
「こいつらはバタフライナイフ。包蝶よりは小さいけど、俺が飼っている危険な蝶だ。さ、怪我したくなきゃ早く出しな」