時間のつぼみ

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「俺、君の事がずっと好…」
健の告白を私はキスで遮った。突然の事に健は困惑するもキスをOKの返事と勘違いした。勘違いから私達は付き合い始めた。
私は未だ、健に返事を返していない。健に一度も「好き」と言っていない。
私は怖いのだ。健の事は好き。それは間違いない。
でも、それを口にする事で恋の蕾は花咲かせ、あとは枯れるだけの関係になってしまうかもしれない。
それなら蕾のままでいい。これまでと同じ蕾の状態で時間を過ごせばいい。
そんな私の態度が健を不安にさせた。だから私は健に全てを打ち明けた。
バカみたい、と笑われるだろうか?ふざけるな!と怒られるだろうか。
うつむく私の顔を健が持ち上げて唇を寄せてきた。
「それじゃ、これからも君に好かれるよう努力し続けるよ」
ぽっ…と私の頬が赤くなる。そっか…恋の蕾って一つだけじゃないんだ…
心にまた一つ蕾が芽吹いた。今ならはっきり言える。
「健、大好きだよ」
青春
公開:20/12/27 20:13

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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