0
1

誰かがいじめられている。その子を助け、いじめっ子を叱るオジサンが昔はいた。

日が落ちても遊びをやめない子を、家族が心配するから帰りなさいと注意するオバサンが昔はいた。

親たちも、子どもが悪さをすれば声を荒らげて怒った。

子どもは泣いたり反省したり、ふて腐れたり。だから、親に誉められた時の喜びも人一倍だった。

いま、生身の気持ちのぶつかり合いは疎まれる。面倒だから。パパやママさえ子を怒らなくなった。何が起きても、いいよ、いいよ。いわんやオジサン、オバサンをや。見知らぬ子にちょっとでも口出しして泣かれた日にゃ、どんな陰口を叩かれるかわかったもんじゃない。

子どもたちから喜怒哀楽が薄れてゆく。

子どもたちが恐れ、畏れる存在。剝き出しの感情をぶつけ、感情の起伏を教えてくれる、お化けのような、モンスターのような大人が、いなくなってしまったから。

モンスターが恋しい。
その他
公開:20/12/27 18:37

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容