待つ

13時にハチ公前。確かにそう約束した。
初デートに遅れて来るなんて、甘く見られたもんだ。俺は思った。
まあ、あれだけ飲み会で意気投合したんだ、すっぽかすはずはない。
30分たったが、来ない。「今どこ？」とメッセージを送っても返信はない。
きっと服装に迷ってるんだろう。
丸二日たっても彼女は来る気配がなかった。入れ違いにならないように、トイレに行くときは「トイレに行ってます。ケンジ」と看板に書いて身代わりに置いた。
スマホの充電は昨日きれた。
十日たっても彼女は現れない。
現金が五日前に底をついて、何も食べられなくなった。空腹も限界に達してきて、座ると立ち上がれないようになった。早く来い、餓死しちまうよ。帰るか。まさか。あれだけ意気投合したんだ。彼女は来る。
座るのも辛くなり、俺は横になろうとした。肩に何かがぶつかった。
骨と皮になった彼女だった。
なんだ、やっぱり気が合うじゃねえか俺ら。