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 働きアリの隊長が、部下のアリたちに指示を出す。
「A君はこれ持って、B君あっち頼むわ」
 それを見て、人間の俺は笑った。
「へぇ、アリにも名前があるんだ。全員同じ顔で同じ仕事しかしないのに」
 アリはうんざりした口調で答える。
「僕からしたら、人間の方が皆同じに思えるけど」
 俺はその言葉に怒りを覚えた。
 そんな俺の視界に同級生の姿が映る。ちょうどいい。渋る同級生を一発殴って、アリの場所までそいつを引きずった。働きアリの隊長に怒鳴りつける。
「見ろ、こいつと俺のどこが同じか言ってみな、あ? こいつは教室の隅にいる。俺はクラスの中心で、仕切ってる。陰キャと陽キャ。顔面も見てみろ、このニキビと脂肪で覆われた顔を。それに比べて俺は、整ったツヤツヤの顔」
 アリは俺の顔も見ずに冷たく言った。
「そういうところだよ」
 俺は怒った。俺より弱いアリを踏みつけ、俺より立場が下の同級生を蹴った。
ファンタジー
公開:20/12/28 16:02

shomin shinkai( 日本 )

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