めぐる光

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子ども達は合図と共に一斉に光を放した。光は花火のように数秒空中に留まったが、すぐに消えた。

皆が放った光は優しさ。少女の持つ光もまた、彼女が雨に濡れた銅像に傘をさした時、母親が採取した光だった。

優しさは回り回って自分の元に帰ってくる。これは可視化した優しさが本当に自分に帰ってくるか、サンプル採取への協力だった。自分の光がどこに行ったのか、この時誰も知らなかった。

大人になり彼女は優しさを可視可している会社に就職した。巨大スクリーンに映し出される世界地図を見て驚いた。物凄い速さで世界を行き来している光、ゆったりしてる光、優しさは人の数だけ溢れていた。反対に行き場を探していたり、消えてしまう光もあった。

一際明るいピンクの光を見つけた。それはここにあった。「まだ分からないことが多いが、これは確かに昔、君が放った光だ。何の縁だかちょうど昨日私が受け取ったんだよ」上司が穏やかに微笑んだ。
公開:20/12/28 15:04

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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