思いの速さ

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アメリカで暮らす私には、中国で暮らす姉がいる。
当時国に望まれぬ存在だった「次女」の私は養子に出された。
12歳の頃、歴史の教科書でその政策を知り、もしかして私のルーツにも関係があるのではないかと、強く関心を持ち、アメリカの両親に問い質した。そして会いたいと願ったが、ルール上名前すら分からないと知った。
充実した大学生活を送る今、記憶に無い中国の家族に会いたいかと問われると、即答出来ない。きっと両親は再開したいに違いない。私はこの愛すべき現状が崩れてしまうのが怖いだけなのかもしれない。

ただ、私を形成する何割が彼らなのだろうと夢想することがある。
肌、目、鼻。ルッキズムに晒されてきた経験も、愛すべき現状の一部だ。

鏡の前に立つ。
光は1秒で地球を7周半するという。
思いはどのくらいの速さで伝わるだろう。

明日は母の誕生日。マフラーを渡すため、ボストンへ向かう。
その他
公開:20/12/28 20:00

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