プロジェクト自縄自縛

企業買収は投資家Ｍ氏の仕事の一つであるが愉しみでもある。癖のある中小企業を安価で買って高く売る。その策を弄するのが楽しいのである。
最近の例だが、ある部品製造会社の社長は倹約家で経営効率重視。会社の生産効率は優れるが規模は小さい。Ｍ氏は配下のコンサルタントを会社の経営参謀に送り込み、社長にさらなる効率化を勧める。経費を絞りきり、社員には深夜休日出勤させて労働効率を上げる。資材購入する業者には価格を下げさせる。まもなく厳しい労働環境に社員は辞める。価格交渉にうんざりした納入業者は減る。もともと弱い営業力に顧客は離れてゆく。
経営が行き詰まり社長が助けを求めたところでＭ氏が救いの手を出す。資金提供し買収へと至る。社長を追い出してコンサルに経営を立て直させてから高い価格で売る。Ｍ氏はこれをプロジェクト自縄自縛と呼ぶ。
次は、気の逸る若手社長のベンチャー企業に目をつけている。さてどんな手を使うか。