褒められた好意じゃない

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「オマエはあたしのこと褒めないね」
 ワシの隣のオババが溜息をつきながら、そう言った。
 オババは続ける。
「せっかくあたしは褒めたら百円あげるババアなのに。あたしはね、褒められたら嬉しいんだ。だから百円あげるんだよ。今風に言えば、win-winさぁ」
「オババのやっている行為は褒められた行為じゃないからな、ワシはオババのことを褒めん」
「褒めなさいって! ……それならば何でそんな毎日あたしと一緒にいるんだい」
「ワシがオババの近くにいれば、何か邪魔しちゃいけないと思われ、オババを褒めてくる連中が減るんだ」
「オマエのせいで褒められチャンスが減っていたのかい! 一体何が目的なんだい!」
 そうだな、そろそろ言わないといけない時期なのかもな。
 ワシは意を決し、
「ワシはオババのことが好きなんだ。他のヤツに褒められてほしくないんだ」
「オマエ、あたしの全財産を欲しがるなんて、強情な男よ……」
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公開:20/12/26 13:11
コメディ

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