縁側のコンコン。
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「ありがとうございました」
夫の四十九日の法要を終え、住職を見送った私は縁側に腰掛けた。
「あら」
縁側の窓に一箇所、一見するとヒビにも見える氷の結晶が出来ていた。亡き夫が、その中で問いかけるような瞳でこちらを見ている。生前にあの人が作ったものだろう。
ーーコンコン。
私はノックし、重ねるように結晶を作った。積縁ガラスにほんの少し振動を加えるだけで、その瞬間を型どることができる。私が写った結晶があの人に重なると表情も穏やかになった気がする。
「私もやる!」
「僕も!」
後ろから見ていた孫達が、我先にと窓をコンコンコンとノックし始めた。私とあの人は次々に重なる氷の粒で姿が隠れていく。
「ごはんよ〜」
母親に呼ばれた孫達は、はーいと返事をして去っていった。縁の雪で覆われた窓を見て、溶かそうかと手を触れた。しかし、すぐに引っ込めた。
雪解けの季節まではこのままでもいいかな。
夫の四十九日の法要を終え、住職を見送った私は縁側に腰掛けた。
「あら」
縁側の窓に一箇所、一見するとヒビにも見える氷の結晶が出来ていた。亡き夫が、その中で問いかけるような瞳でこちらを見ている。生前にあの人が作ったものだろう。
ーーコンコン。
私はノックし、重ねるように結晶を作った。積縁ガラスにほんの少し振動を加えるだけで、その瞬間を型どることができる。私が写った結晶があの人に重なると表情も穏やかになった気がする。
「私もやる!」
「僕も!」
後ろから見ていた孫達が、我先にと窓をコンコンコンとノックし始めた。私とあの人は次々に重なる氷の粒で姿が隠れていく。
「ごはんよ〜」
母親に呼ばれた孫達は、はーいと返事をして去っていった。縁の雪で覆われた窓を見て、溶かそうかと手を触れた。しかし、すぐに引っ込めた。
雪解けの季節まではこのままでもいいかな。
その他
公開:20/12/26 09:00
縁
マイペースに書いてきます。
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