ツグミとタクマのクリスマス

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「はあ、今年も親父とクリスマスか」
「そんな嬉しそうにするなよ」
「誰がだよ!」
ツグミは膝を曲げてタクマの脛を蹴った。彼は絶句してその場にうずくまる。
「おおげさ。……ちょっと、ねえ大丈夫?」

並んで歩く二人は親子と言うより歳の離れた友人か、生徒と教師の関係性に見える。どこかに距離があり、甘えがない。

「父さんはいつ、サンタが偽物だって気づいたの」
カルボナーラパスタをもぐもぐしながら、ツグミが訊いた。
「え、サンタって偽物だったの?」
「最後にプレゼントが来た日、靴下から電気屋のレシート出てきただろ」
タクマは無精髭を撫で、赤ワインをぐいと飲み干した。
「俺はまだ信じてるけどね」

小さな仏壇のお鈴を叩いて手を合わせる。タクマが冷蔵庫からケーキを取り出して卓上に乗せる。こたつに足を突っ込んで、蝋燭の火をじいっと見つめる。

「メリークリスマス」
聖夜恒例のケーキ争奪戦が始まった。
その他
公開:20/12/26 07:00
更新:20/12/25 23:51

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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