さかりそめの夜

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「お前、欲しがってたろ。ほとんど使ってないからやるよ」
博が俺に香水を手渡した。これは一夜の記憶を消すという香水、かりそめの夜。

「結婚する人とじゃないと、Hな事しない」
俺の彼女の口癖だ。5年付き合っているが、キスより先には進んでいない。まだ俺は23歳だ。結婚はまだ決められない。しかし、もう限界だ。だから、この香水に頼るしかない。プロポーズした後、記憶を消すのだ。


彼女の部屋でキスをし、そしてこれ以上先はお預けと人差し指で鼻を押された。

「結婚しよう。だから、しよう」
「本当?!嬉しいけど…言い方!」
「だって、5年も待ってるんだぜ」
「え?体目当てで結婚ちらつかせた訳?最低!絶対しない」

彼女は頬を膨らませた。俺は背後から彼女に香水をかけた。そして彼女は眠りについた。明日になったら今日の事は忘れているだろう。

しかしどうする。気が付けば、香水はあと一回分だ。
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公開:20/12/25 22:21
更新:20/12/25 22:25
縁?

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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