図書館での逢瀬

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図書館で本を読む。
今日は誰に会えるだろう。
「あら、私のことを知りたいの?仕方ないわね。なら、ケーキでも持ってきてもらおうかしら」
派手なドレスを身に纏ったとある国の王妃様は、私の隣でそう言った。

図書館で本を読む。
今日は誰に会えるだろう。
「まったく、佐々木小次郎のやつ!ずっと巌流島で待っていたのに遅刻してくるとは!!あいつは本当に仕方ないな!」
二振りの刀を携えた武士は呆れながら、私の隣で溜息をついていた。

図書館で本を読む。
今日は誰に会えるだろう。
「本を読むのは素晴らしいことですが、あまり読み過ぎると目を悪くします。適度な休憩を取りながらにしなさい。さもないと強制的に本を取り上げますからね」
戦場で看護婦として働き続けた女性は、私の隣で細かく注意を呼び掛けていた。

図書館で、本を読む。
色んな時代の、色んな人に出逢う。

「今日は誰に逢おうかな」

私は今日も本を探す。
その他
公開:20/12/27 11:06

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