アリスの物語

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「私こそがアリスなの。そこの赤い頭巾をかぶった女でも、下半身が魚の女でも、お菓子の家に行った双子でもない、私がアリス。さあ審判の時よ。私以外の偽アリスの物語は、私が終わらせる。そして私の物語が始まるの」
 そう歌う金髪の少女の手にはトランプの剣。眼下に倒れる4人を見下し、そのうちの一人、赤い頭巾の少女に剣を振り下ろそうとした。だが、その剣が横から掴まれる。掴んでいるのは、双子の片割れの少年。
「何のつもり?双子のアリスの片割れ」
「僕たちを、アリスと呼ぶな」
 剣が手に食い込む痛さを我慢し、少年は続ける。
「僕たちにだって、物語はあるんだ。それを、アリスの物語で、括るなぁ!」
 そう叫んだ少年。その手には、ビスケットの剣が生まれる。
 それを見て、アリスは小さく舌打ちし。
「いいわ、先ず貴方から終わらせてあげる」
「僕だって、主人公だ!」
 そして二人の剣が交差し、世界が、ひび割れた……
ファンタジー
公開:20/12/27 10:28

バルバルサン( 様々です )

小説家になろうから、twitterまで様々な場所に出没。
短い文章にも挑戦してみます。
よろしくお願いします。

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