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姉と二人で怪談番組を見ていた。おどろおどろしい暗い画面と、突然大きくなる効果音。子供だましと言えばそうなのだけれど、姉はそれを夢中で見ていた。私はどちらかというと怖い番組は苦手で、何より怖いシーンで叫ぶ姉の声に驚かさせるのが嫌だった。同じ理由でお化け屋敷も肝試しも嫌いだったが、怖がりだねとからかわれるのも癪であった。
我慢して見たその夜、耳に残る姉の叫び声と濡れそぼった紫色の顔をした女が、目を瞑っても瞼の裏に張り付いたかのように浮かんでくる。布団を頭からかぶり無理やり寝ようとした時、隣に何か気配がした。視力の悪い目にはっきりと映る実体ではない見知らぬ老爺が同じ布団で寝ていた。「生きていない人」と脳が理解すると同時に身体中から嫌な汗が吹き出し、ガタガタと震えが起きた。助けを求めた姉は、小さく寝息を立ている。本当に怖いときは叫び声なんか出ない。かろうじて動く目で姉を睨んだ。
ホラー
公開:20/12/27 10:20
前の住人? 通り道 鬼門

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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