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人生初の「神有月」だ。旅行雑誌の「出雲大社」の頁を開き、僕は境内へ足を踏み入れた。と同時に、すぐ横を走り抜けていった少女がつまずき、よろめいたのが目に入る。慌てて駆け寄った。
「大丈夫?走っちゃ危ないよ」
着物姿の少女が振り返る。その足元は靴紐の解けたスニーカーだった。
「遅刻しそうで…。この履物の方が早く走れるかと思ったのに、すぐ解けちゃうの」
「なら、イアンノットって知ってる?一度結ぶとなかなか解けないんだ」
結び方を教えると少女は大層喜んだ。
「ありがとう、これで私も上手に結べるわ!貴方に良いご縁がありますように」
少女が懐から赤い手拭いを取り出し、僕に渡す。礼を言おうと顔を上げればその姿はもうない。首を捻りつつ周囲を見回していると、見知らぬ女性に声をかけられた。
「草履の鼻緒が切れてしまって…。良ければその手拭い、譲っていただけませんか?」
細く裂いたそれは、赤い糸によく似ていた。
「大丈夫?走っちゃ危ないよ」
着物姿の少女が振り返る。その足元は靴紐の解けたスニーカーだった。
「遅刻しそうで…。この履物の方が早く走れるかと思ったのに、すぐ解けちゃうの」
「なら、イアンノットって知ってる?一度結ぶとなかなか解けないんだ」
結び方を教えると少女は大層喜んだ。
「ありがとう、これで私も上手に結べるわ!貴方に良いご縁がありますように」
少女が懐から赤い手拭いを取り出し、僕に渡す。礼を言おうと顔を上げればその姿はもうない。首を捻りつつ周囲を見回していると、見知らぬ女性に声をかけられた。
「草履の鼻緒が切れてしまって…。良ければその手拭い、譲っていただけませんか?」
細く裂いたそれは、赤い糸によく似ていた。
その他
公開:20/12/26 23:36
更新:20/12/27 00:03
更新:20/12/27 00:03
文字を書く猫です。
まだ不慣れですみません。
Twitter:@catyashiki_meow
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