時間のつぼみ

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愛用の万年筆をインクに浸す。まるで蕾が色付く様にペン先が色を変える。
手紙に筆を走らせる。ペン先から溢れるインクが今の私を手紙に刻み付ける。
修正の効かない一発勝負。私は万年筆で手紙を書く行為が好きだ。
文字は嘘がつけない。私の心をそのまま浮かび上がらせる。
手紙を受け取った人はどう思うだろう?少しでも良い感情を持って貰いたいと文面に工夫を凝らす。
凝らし過ぎれば滑稽、失笑もの。だからこそ、あくまでも今のありのままを書いていく。
万年筆とは時間の蕾だ。きっと万年かかっても私はその蕾を咲かせること叶わない。
文面は未熟で読み手を意識できない。つい自分勝手に筆を走らせてしまう。
後に顔を覆ってしまう事もある。これではまるで私が蕾だ。
手紙とは私そのもの。必死に取り繕い、何かを誤魔化そうとしている。まるで悪戯を隠す子供だな。
きっと手紙を受け取った人は私の時間の蕾に苦笑いを浮かべている事だろう。
公開:20/12/26 19:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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