今日だけの魔法

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この街は、雪とは無縁だ。
魔法の国から追い出され、元の世界に戻ってきた。
「お前には魔法使いとしての素質がない」
この言葉が、いまだに耳から離れない。
小さい頃から魔法使いになるのが夢だった。
大人になろうとしている今でもだ。
普通の人である僕には無理なのだろうか。

この街には大きすぎるクリスマスツリー。
今日の為に友達が用意してくれた。
魔法の国の物だと言っても、誰も信じないだろう。
飾り付けされたツリーの頂上には大きな星が輝いていた。
「…よし」
着慣れてないサンタの格好でツリーの前に立つ。
星に向けて右手を挙げ、指をパチンと鳴らした。
星は雪を吐き出しながら、くるくると回る。
歩いていたカップル、家族、仕事帰りの人達が一斉に空を見上げた。
「すごい!すごい!魔法みたい!」
子供達がくるくると回りながら喜んでいる。
これが、僕なりの魔法だ。
人工雪が降り止むまで、星をずっと見ていた。
ファンタジー
公開:20/12/25 12:00

たーくん。( 関西 )

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