Are you ready?

どこでもない街の一角、変哲ない日常の隙間が映し出される。

校庭脇のフェンス、住宅地の街路、ボロ団地のコンクリート階段、田んぼ脇の用水路。廃墟になった地下駐車場の壁にはスプレーで文字が描かれている。

Are you ready?

切り替わる場面。背景に広がるのは真っ青な空と磨き抜かれた大理石を思わせる白の雲。

走り出したのは女子高生だけではない、仕事を終えたゴミの収集作業員、独り身の髪少ない老婆、出稼ぎに来ている黒人の男。
皆それぞれの道を駆け抜けていく。ばらばらの速度、各々の意志で。

彼らが集うのは、あの廃墟の壁の前だ。

道具を捨てペンを握りしめる作業服の男。老婦はくたびれ切ったぬいぐるみをそっと床に置く。黒い肌の労働者が雇用契約書を破いて散らすと、少女は父親の写真を踏み潰した。

壁の言葉が消え、新たな文字が浮かび上がる。

Welcome to your life.