サンタには縁がない

「ねえママ、サンタさんの秘密知っちゃった」

娘はサンタへの手紙を誰にも読まれないように隠した。そしてクリスマスイブ。一か八かのプレゼントを赤い袋に包み枕元に置いた。

娘は朝から大はしゃぎだ。
「サンタさん来た！」
そして娘は家の中を探し始めた。
「パパいるんでしょ？」
美優？
「隠れてないで！サンタさんはパパだって、皆が言ってたもん！」
違うよ。
「パーパ！どこに隠れたの？」
私は娘をギュッと抱きしめた。
「痛いよママ」
「パパはいないの、いないのよ」
娘を抱く力が強くなった。
「だってお手紙に書いたプレゼントきたもん！パパサンタさん来たもん！」
美優は見覚えのない緑色の袋を持っていた。
「あっ、ママも！」
私の枕元にはネコの模様の紙袋があった。忘れるわけ無い、あの人との思い出の店の袋。そういえば何年もサンタには縁が無かった。

あなた

仏壇の写真が笑っているように見えた。