受け継がれる奇蹟

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公園のベンチに座って、僕は目の前にいる赤い服でヒゲモジャの太った人物に目を向け、声をかけた。

「まだこんな時間じゃ早いんじゃないの?」

「こっちも人手不足でな。早めに始めないと仕事が終わらんのじゃ。まあ、もう暗いからいいじゃろ。」

「で、今年はそこのガキ3人だけだよ」

「なるほど。それでは預かっていくことにしよううかの」

「じゃ、また来年」

僕がそう告げると、ヒゲモジャ老人は子どもたちをソリに乗せ、再び夜空へ飛んでいった。彼らはこれからここではない世界で過ごすことになるのだ。

ここは3丁目の公園。2ヶ月前に起こった大地震で一帯は無人の荒野になってしまった。生き残ったものは避難所暮らしである。いつまで続くかわからない。

あの子どもたちはその過程で死んだ。これからは“天使”として訓練を受け、後輩になる子どもたちをスカウトする役目が待っている。

僕は彼らの先輩さ。100年だけ。
ファンタジー
公開:20/12/24 18:30
399 いちおう死人ということで。 前作と合わせてオオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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