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僕は公園のベンチにひとり座っている。12月の日が落ちるのは早い。まだ16時台というのに、すでに街灯がともり、寒さがましてくる。

「おにいちゃん、あそぼ」

サッカーボールを持ったこどもたちが話しかけてくる。

「“夕焼け小焼け”は40分くらい前に鳴ったぞ。お前らも帰れ。つか、消えろ」

僕はそっけなく応える。

「ちぇっ、冷たいの。だってまだ遊び足りないよ。それに帰るところもないし」

それは確かだった。彼らには心の安住の地はない。正確に言えば、かつては帰る家があったが、今はそこに戻っても精神的な居場所がないのだ。僕もそうだ。だから、こうして公園のベンチに座っている。

「じゃあ、おとなしくそこで待ってろ。そのうちあいつらがやってくるから」

僕はそう言ってネイビーブルーに染まる空を見上げる。

やがて、それはやってきた。

「ほぉほぉほぉ。よい子にはプレゼントをあげよう。」
ファンタジー
公開:20/12/24 18:14
398 サンタクロース的な何か はたしてネグレクトなのか あるいは幽霊なのか 僕は何者なのか

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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