Znな世界のリルー

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俳句のオンラインワークショップなるものに参加してみた。幅広い層の参加者は、普段なかなか出会えないような人たち揃いで、みんな銀白色に輝いていた。というのも、約半年ほど前から、僕ら地球民はみんな、外部の危険から自分と他人を守るために、全身に亜鉛メッキを施されていたから。極力自宅で過ごすことが推奨されて、要は人と自由に会えん社会ってわけだ。参加者の中に一人、外国の女性がいた。名前はリルーというらしい。訛りのある日本語で詠む俳句が妙に微笑ましく、銀白色の輝きが一層眩しかった。
2時間の会は瞬く間に終了。パソコンの前で彼女の輝きを思い出すと、胸がキュンと熱くなった。水でも飲もうとキッチンへ向かうと、床で何かがキラリと光った。十円玉だ。屈んで拾うと…
ぽたり
溶けだした亜鉛メッキが、温かな重みをもって一雫、胸からこぼれ落ちた。手のひらの硬貨に丸く小さな穴があいて、真鍮の五円玉のようにキラキラと輝いた。
公開:20/12/25 09:34
更新:20/12/25 09:38

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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