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歩きスマホをしていた自分が悪い。夕方の人気のない田んぼ道だ。予想はできた。
「いってー」
道路の縁を踏み外し、体勢を崩して用水路にどっぼーん。全身強かに打った。立ち上がれる気がしない。スマホもどっかいった。幸い用水路の水はさほど多くないが、冷たい水は着実に体温を奪っていく。
「君、こんな縁の底で立ち往生とは趣味のいい。このまま今晩の豪雨で流されたいのか?」
「は?」
至近距離から声が聞こえた。誰も居ないはずなのに、確かに声が。腹の底が冷えていくような感覚に襲われる。
「はは、そう怯えんな。私と出会った、これもきっと縁だ。」
後ろだ、後ろから声がする。勢いよく振り返ったそこには、コンクリートの割れ目が闇を覗かせているだけだった。
「君の縁をたぐった。彼に感謝しなよ。」
遠くから「おーい、大丈夫か」と呼ぶ声がする。この声は大っ嫌いなあの先生。助かることに安堵しながらも、割れ目を睨みつけた。
「いってー」
道路の縁を踏み外し、体勢を崩して用水路にどっぼーん。全身強かに打った。立ち上がれる気がしない。スマホもどっかいった。幸い用水路の水はさほど多くないが、冷たい水は着実に体温を奪っていく。
「君、こんな縁の底で立ち往生とは趣味のいい。このまま今晩の豪雨で流されたいのか?」
「は?」
至近距離から声が聞こえた。誰も居ないはずなのに、確かに声が。腹の底が冷えていくような感覚に襲われる。
「はは、そう怯えんな。私と出会った、これもきっと縁だ。」
後ろだ、後ろから声がする。勢いよく振り返ったそこには、コンクリートの割れ目が闇を覗かせているだけだった。
「君の縁をたぐった。彼に感謝しなよ。」
遠くから「おーい、大丈夫か」と呼ぶ声がする。この声は大っ嫌いなあの先生。助かることに安堵しながらも、割れ目を睨みつけた。
その他
公開:20/12/23 14:26
文章を書く大学生
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