クリスマスなんて大嫌い〜後編〜

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誰ですかと尋ねても、目の前のお爺さんはニコニコしてばかり。

「遅くなってごめんなぁ。中々都合が付けられんでなぁ」
「…?」
「でも、今年は漸く準備出来たからなぁ」
「あの、何を?」

しわくちゃで、ゴツゴツした大きな手が、わしわしと頭を撫でる。それが暖かくて、優しくて、身体の内側からポカポカしてきて。

「おやすみ、私の愛しい子。君にも聖夜の奇跡をあげよう」

いつのまにか、私は眠りについていた。




「…さい。起きなさい」
「んえ…?」

ゆさゆさと揺さぶられて、目を覚ます。
のそりと炬燵から出ると、私を起こした本人と目が合う。そして、目を丸くした。

「お母さん」
「ほら、準備するから手伝って」
「準備?」
「そ!クリスマスパーティーのね」

丁度その時、父が帰ってきた。大きなプレゼントを抱えて。


メリークリスマス


夜空から鈴の音と、あのお爺さんの声が聞こえた気がした。
その他
公開:20/12/23 09:23

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