終わらない恐怖

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男は、玉座の上で震えていた。
石段を登る音が段々と近づいてくる。
汗が、額に滲む。

その若者が現れたのは1ヶ月前であった。
突如、男の住処に現れ、刃物で襲いかかってきたのだ。
そのときは問題なかった。男は一撃で若者を粉砕した。

問題は次の日からである。
若者は再度現れた。何一つ変わらない姿で。男は再び若者を倒した。
しかし、若者は次の日も、その次の日も現れた。その度に一撃で屠った。
違和感を覚えたのは10日ほど経った頃である。殺すのに、10秒かかったのだ。
20日目には決着まで5分かかり、25日目には1時間かかり、昨日は危うく負けるところであった。
若者は毎日やってくる。そして、日に日に強くなる。
男は宿命のために逃げられない。文字通り座して死を待つのみだ。
重たい扉が、静かに開く。
涙が、目に浮かぶ。
若者が、今日も現れた。

「魔王!勇者の名にかけてお前を倒す!」
ファンタジー
公開:20/12/22 21:37
更新:20/12/22 21:45

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