非科学的なことは嫌い
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今日も、つまらない道を足早に帰宅する。
仕事で使った白衣で膨らんだトートバッグが邪魔だ。適当に伸びた髪の毛がうっとうしい。時折ずり落ちてくる眼鏡も、正面から吹く風も、今日はみんな敵だった。
今日は何もうまくいかなかった。最近ずっとこの調子だが、今日は特別駄目だった。
いつもより重い脚が必死に地面を蹴る。お気に入りのスニーカーがぼやける。恋人とお揃いのスニーカー。もう会えない恋人の好きなブランドのスニーカー。
恋人が亡くなって、勝手に半年が経った。四十九日が終わり、恋人を思い出してしまうものは捨てようかとも思った。いつまでも、前に進めない気がしたから。でも、できなかった。ふざけて渡してきた、ちょっとしたメモも捨てられなかった。
足が止まり、目をこする。どこかで、猫の声がした。
ただの野良だ。で片付けられなかった。変なの、恋人に呼ばれた気がした。
仕事で使った白衣で膨らんだトートバッグが邪魔だ。適当に伸びた髪の毛がうっとうしい。時折ずり落ちてくる眼鏡も、正面から吹く風も、今日はみんな敵だった。
今日は何もうまくいかなかった。最近ずっとこの調子だが、今日は特別駄目だった。
いつもより重い脚が必死に地面を蹴る。お気に入りのスニーカーがぼやける。恋人とお揃いのスニーカー。もう会えない恋人の好きなブランドのスニーカー。
恋人が亡くなって、勝手に半年が経った。四十九日が終わり、恋人を思い出してしまうものは捨てようかとも思った。いつまでも、前に進めない気がしたから。でも、できなかった。ふざけて渡してきた、ちょっとしたメモも捨てられなかった。
足が止まり、目をこする。どこかで、猫の声がした。
ただの野良だ。で片付けられなかった。変なの、恋人に呼ばれた気がした。
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公開:20/12/22 19:58
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