夢のような装置

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「さ、この装置の中に入るんだ。次に目を覚ました時、君の病気は完治しているぞ!」
その言葉に苦笑いを浮かべる。
私の病気は今の医療技術では治せないもの。それがこんな装置の中に入ったくらいで治るわけがない。
きっと私はコールドスリープに入るんだ。遠い未来、私の病気を治す術はきっと見つかる。これはその為の装置なんだ…そんなSFめいた妄想を抱き、私は眠りに着いた。

目を覚ましたのは何と翌日だった。
嘘みたいに体が軽い。凄い!本当に病気が治っている!
私はすぐに退院すると学校に通い始める。失った時間を取り戻すように青春を謳歌した。
恋をして、仕事して、結婚して…人並みの幸せを手に入れた。
今の私があるのはあの夢のような装置のおかげだ。本当にありがとう!

「先生、本当にありがとうございます…」
親は医者の私に感謝する。
あの子の病気は治せない。なら、せめてこの装置で死ぬ迄良い夢を見させてあげよう。
SF
公開:20/12/22 19:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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