クリスマス前夜祭

「早く寝ないとサンタさん来ないわよ」
「はーい。おやすみなさい」

パチンと電気が消えて、リビングに誰もいなくなる。

おーい、もういいぞ。もう行ったぞ。

何処からともかくそんな言葉が聞こえて、みんながゴソゴソ動き出す。
「ほらほら、早く降りてくれ。身体が引っ張られて痛いんだ」
クリスマスツリーに促され、オーナメント達が動き出す。
ツリーの下に置かれたプレゼントやクリスマスリースも、ごとごと、ユラユラ。
「ああ、ようやく自由に動ける！一年にたった一回、この夜の間だけ、僕らは自由だ！」
ツリーの頭の星がそう言うと、歓声が上がった。
「一年も倉庫の中にいて、カビ臭くなってないかな」
「今年のプレゼントは何なの？」
「それは秘密さ」
わいわい、ガヤガヤ、ごそごそ、キャッキャッ。
人の居ないリビングで、先に行われるクリスマスパーティー。
君の家でももしかしたら、みんながパーティーしているかもね。