異世界転生願望

夕闇が深まる幹線道路。ヘッドライトの行進が続く中、一台のトラックの前にボールが転がる。次いでそれを追うこども。その場にいた誰もが息を飲み、叫ぶものもいる。急ブレーキの音が響く中、誰もが悲劇を予想した瞬間、

「もう、飛び出しちゃだめだよ」

男の子を助けだした高校生くらいの少年が、中央分離帯の上で泣きじゃくるこどもの頭をなぜながら思っていた。

（おかしいな。ここで僕はトラックにはねられて、異世界へ転生するはずなのに）

少年はその後もさまざまな危機に遭遇した。

ある時は、建設中のビルの上から落ちてきた建材につぶされそうになった若い女性を助け、またある時はヒグマに襲われそうになった老婆を助け、またまたある時は爆弾を持ったハイジャック犯から200人の命を救った。

（いったい、僕はいつ異世界で冒険ができるの？）

彼の願いは実現せず、その後も少年の超人的人助けは続く。彼TUEEEE！！