気になる豊島くん
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豊島くんは休日返上で取引先の社長の接待ゴルフに出掛けていた。
「ナーイスショット!!」
嘘と大声は仕事を始めてから身に付いた。芝生の上を脳味噌を停止させて歩いているとふと剣道クラブの先輩にお歳暮で贈ったハムはちゃんと届いただろうかと気になった。
気になり始めると止まらない性格の豊島くんは、そう言えば今日出掛ける時、鍵はちゃんと閉めただろうか、換気扇は止めただろうか、ストーブのコンセントは抜いただろうか、などと矢継ぎ早に気になってくる。
「豊島くん、君の番だよ」
この目の前にいる偉そうな太った中年はなんなんだろう。僕にとってなんなんだろう。なぜ僕はこれに気を遣っているのだろう。なんのために?それを一生続けてなんになる?そもそも人生とは一体、命とは一体なんなんだ。気になる。この世界の全てが気になる。
「豊島くん、早く打ちなさい」
「はーい」
豊島くんは取引先の社長にワン、タン、面した。
「ナーイスショット!!」
嘘と大声は仕事を始めてから身に付いた。芝生の上を脳味噌を停止させて歩いているとふと剣道クラブの先輩にお歳暮で贈ったハムはちゃんと届いただろうかと気になった。
気になり始めると止まらない性格の豊島くんは、そう言えば今日出掛ける時、鍵はちゃんと閉めただろうか、換気扇は止めただろうか、ストーブのコンセントは抜いただろうか、などと矢継ぎ早に気になってくる。
「豊島くん、君の番だよ」
この目の前にいる偉そうな太った中年はなんなんだろう。僕にとってなんなんだろう。なぜ僕はこれに気を遣っているのだろう。なんのために?それを一生続けてなんになる?そもそも人生とは一体、命とは一体なんなんだ。気になる。この世界の全てが気になる。
「豊島くん、早く打ちなさい」
「はーい」
豊島くんは取引先の社長にワン、タン、面した。
その他
公開:20/12/21 16:58
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