海辺の町のみかん

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海辺の町の古い一軒家に住んでいる義男は、道路工事の音で目を覚ました。昨日、何日も徹夜でした仕事を終えたばかりだと言うのに。寝惚け眼で窓を開けると、何やら道路を掘り返している。
「ああ、そう言えば前に水道工事をするとチラシがポストに入ってたっけ。」
義男はどてらを羽織り、階段を下りて洗面所へ向かった。
「あーそう言えば断水もするって書いてあったような」
義男はパジャマにどてら、つっかけの姿で外へ出た。義男は浜へ下り、つっかけのまま海に入り、海水で顔を洗った。
「ふ~~~~」
しばらく顔を洗っていると、波に揺蕩うみかんが義男の足に当たった。みかんを拾い上げ、暫く見つめた後、義男は自分の脇を嗅いだ。臭いが鼻を劈いた。
「あーそう言えば、クリスマスプレゼントがみかんと消臭剤だった時は泣いたなぁ」
義男は中学生の時の出来事を思い出していた。義男は家に戻り、固形石鹸を手に取り、また海へと戻った。
その他
公開:20/12/21 16:56

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