健忘症な人たち

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まっすぐな銀杏並木をぶつぶつと仕事の失敗の言い訳を言い続けては立ち止まり、黄葉の写真を撮る。同窓生の一人に撮った写真を送ろうとしてその名が思い出せないサラリーマン。

墓園にやってきて空いた区画を小さなスコップで掘り始める。そこそこの穴を掘ってから、埋めるはずの老人の記念品が何だったかわからなくてバッグの中を探す専業主婦。

深夜のコンビニで妻から渡されたメモ用紙を何度もみては商品を探して、棚のあいだをいつまでもうろうろして何も見つけられない初老の男性。

窓辺のソファでガラスを打つ雨粒と垂れて流れる筋を追って午前中をやり過ごし、お昼に電話をかけようとして老婦人の番号も名前も出てこない中年女性。

雅夫と由布子と兼孝と恵美梨たちのことを思い浮かべて彼らのことを書いたけれど、須磨子のことばかり気になって仕方がない。須磨子が誰だったのかどうしてもわからない投稿趣味の老婦人。
その他
公開:20/12/21 11:14

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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